全自動洗濯機に考える手動と自動の境界点
サマリ
- 全自動洗濯機は、全然全自動ではない
- 半自動にも関わらず自動、手動の境界点を大半のユーザ価値で最適化できたからこれだけ普及した、と筆者は考察した
- この考え方は、開発やテストなどソフトウェアに関わる業務についてのプロセスとしても役立つはずである
想定読者
- 全自動洗濯機を使ったことのある方
- 自動化について理解を深めたい方
この記事の目的
自動と手動の境界点をより深く理解するために、衣類の洗濯というプロジェクトを想定し、自動化という切り口で考えてみることにしました。
ツール
- 家庭用の全自動洗濯機
- 乾燥機能がないものとします
- 洗剤、柔軟剤の自動投入機能のない機種であるとします
自動化の目的
- 衣類などの汚れを落とす
- 洗濯の工数を削減する
- 水を節約する
手順の分解
私なりに流れをステップに分解した結果は以下のとおりです。結果として、自動8ステップ、手動6ステップでした。
洗濯プロジェクトの考察
1.全自動と言いつつ、自動の部分と手動の部分両方ある
上の表に記載したとおりです。「全自動洗濯機」と呼ばれていますが、ステップ数換算では半分近くが手動で行われていました。
2.そもそも自動化に適さない対象(衣類)がある
シルクのドレスや毛織物のセーターなどは、水洗いすると縮みや形崩れ発生するため家庭用全自動洗濯機で洗う事はできません。そういった対象に関しては、ドライクリーニングなど別の手法を用いて、汚れを取る手段があります。
3.手動の前準備により、自動の効果を高めている
例えば、泥汚れのものとタオルを一緒に洗った場合、泥がタオルに移ったりするため洗濯が非効率になる場合があります。そのため、あらかじめ目視で選別して予洗いを実施することにより、洗濯機に回した際の洗浄効果を下げない工夫を行っています。
いかがでしたか
世の中を見渡してみると、実は自動と手動の絶妙な組み合わせによって効率化されているものがあります。以下のツイートをきっかけに、以前考えたメタファーを加筆して記事にしました。自動化に対する理解の向上につながれば幸いです。
セブンの会計、「商品の読み取りは店員が、会計方法の選択と支払いとレシート受け取りは客が機械で」という棲み分けが絶妙すぎるの思う。よくこの位置で手動と自動を切り分けようと思いついたよなあ。全部自動か全部手動じゃなく、うまい切り方だよなあ。スーパーのセルフレジ見るとしんどいもんなあ。
— Kazu SUZUKI (@kz_suzuki) 2024年4月4日